FE受験の所感など

  FE(基本情報技術者試験)を受験したので、所感などを書いてきたい。ただし試験内容については一切言及しない。試験範囲についても言及しない。

 全体を通して振り返ると、午前試験、午後試験ともに、事前学習はそこまで必要でなかったと感じる。知識量は学習参考書を1冊読む程度(今回は"基本情報技術者合格教本"を使用)で事足りたし、この本にしても内容を隅々まで把握する必要はなかった。FEに限らず資格試験というものは、基本的には過去問を解いて、必要な知識をその都度入れていく学習法のほうが圧倒的に効率的なのだ。参考書をきちんと仕上げようという行為は、「CSの基礎を体系的に学ぶためにFEを受験するのだから、参考書をきちんと仕上げることにこそ意味があるのだ」という動機からくると思われる。だから前提として、FEは大して体系的にCSを扱っていないということを知っておくべきだろう。

 午前試験について、問題については特筆すべきことはなかったが、試験を受けた環境についてはいろいろ思うところがあった(ポジティブな意味合い)ので、書いておこう。基本情報技術者試験は現在、IPAがプロメトリックという会社に委託して行っているため、プロメトリックの試験会場で受験をするということになっている。試験時間は2時間30分でそこそこ長い。プロメトリックの試験会場は、オフィスビルの一室にコンピュータを並べて、仕切り板を設けたような簡素な試験室で、試験中はひたすらパソコン画面と手元のメモ用紙(1枚だけメモ用紙が渡される)を見ることになる。この部屋での受験体験は非常に良いものだった。ノイズのない試験会場で、2時間30分きっちりと一つの課題に取り組んだことで、強い達成感と充実感が得られた。振り返ってみると普段の自分の学習環境のなんとノイズの多いことか。常に新しいメロディがシャッフル再生で流れてくるし、LINEやらDiscordの通知がそこそこの頻度で届くし、ブラウザでは作業内容と関係のないタブが開きっぱなしになっているし。午前試験を受けたことで、自身の学習環境を改善しようという気になれた。作業用BGMの類を一切廃し、必要以上にブラウザを使わないようになった。

 午後試験については、こちらは問題のスタイルが特徴的だ。FEの午後問題というのは、基本的には、あるテーマに関する説明文読ませてその行間を受験者に埋めさせる、という形式。説明文は非常に長く、書いてある文章も非常に読みにくい。この午後試験で面白いと思えることがあるとすれば、それは結局、そういった文章でも我慢して読んでいたらそのうち理解できるということだ。理解してしまえば、たいして複雑なことを言っているのでもなければ、難解なことをやろうとしているわけでもないということがわかる。問題によっては、非常に当たり前のことを述べていることもある。個人的な気づきとしては、この我慢して読んでたらいつか理解できるというのは、実は僕が日頃敬遠している多くの事柄について共通して言えるのではないか、ということだ。つまり、一見して難しそうと感じても、頑張って読めば(試験時間に相当する2時間30分程度の時間内で)理解できるかもしれないし、理解したら、なるほどこれは業界の常識的な知識だな、とその位置づけもわかるかもしれない。この気づきは、一見してよくわからない文章を読む際の心理的ハードルを大きく押し下げるもので、こういう体験ができるのが午後試験の良いところだ。

 以上、振り返って端的に述べると、FEによってCSが体系的に学べるというわけではないが、試験の受験体験そのものはなかなか良質だった。資格不要論が跋扈するこの業界で資格の有用性を述べるとしたら、僕は試験を受ける体験そのものにある、という路線で説明をすると思う。

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