実家帰省中に特急が止まった話

 おおよそ日報のようなもの。もう少し時間をおくつもりだったが実家への帰省を突然思い立った。ワークステーションに存在する道具という道具をスーツケースに押し込み、特急の指定席を取って出発。スーツケースは想像の数倍重量があり、持ち上げるだけで一仕事である。特急の出発地点に到達する手前で既に心が折れそうになっていたが、五千円を不意にするわけにもいかないのでとにかくひきずって進むことにした。
 特急には無事乗り込むことができた。特急なんて普段乗らないので勝手がわからない。とりあえず指定席の車両の後方の荷物置き場にスーツケースをおく。雰囲気は非常に落ち着いている感じで、静かではあるが非常に暑い。車掌曰くエアコンが故障しているとのこと。その後、別の車両に移動するように言われた。あまり物の席はボックス席で、エアコン故障の指定車両で居合わせた旅人と同じボックス席に座ることになった。その人は関東の人のようで九州一周旅行にこの車両を使っているということだった。
 走行を始めてから1時間ほど、山間部を走行中に、いかにも秘境という感じの無人駅に停車し、停車後とつぜん電気が落ちる。どうやら停電が起こっているらしい、復旧を待てということなので落ち着いて待つ。それから10分ほどして車掌がやってきて、どうやら復旧にしばらくかかりそうだという話。さらにしばらく経って、バスを手配するのでそっちに乗ってくれという指示が出る。わーお、特急わーお。
 外に出ると山、山、山、少しばかりの住宅街。美しい場所ではあった。駅舎を見ると電車の時刻表が貼ってある。1日に3本しか電車が来てない!すごい!とかいって周りの人と盛り上がった。
 そのあとは鈍重なスーツケースをやっとの思いでバスに運び、そこから後続の特急に拾ってもらえる駅までバスで移動。先ほどボックス席で乗り合わせた人とはバスでも隣席で、九州旅行の印象をいろいろと聞いたりした。九州一周のなかでどこが印象に残ったか聞いてみると、長崎が印象に残ったというふうに言っていた。どうやら歴史系の施設に結構行ったようで、長崎では原爆記念館が科学技術の暴走がどういう結果をもたらすのか、ということを確認したようである。西南戦争についても学んだということらしいので、どちらも生々しい事象ではありますよねと言ってみたら、それでも被害の規模感が全然違うというふうに言っていた。つまり、人間が攻撃主体となっているケースと、人間が作った装置が攻撃主体となってるケースの規模感の違いである。どうすかね、僕はプロパガンダとかそういうもので大衆が動いていって、それがどこまでも暴力的になっていく、という意味ではどちらも同じくらい生々しくて恐ろしいと思うけど。
 バス移動のあとは別の特急に乗りかえ、最後は自宅までタクシー。タクシー運転手とは殺人的な今日の夏の日差しと、作業着のファッションについて10分くらい話していた。結構笑えた。
 と言った具合で、唐突に思い立っての実家帰省は多くのトラブルに見舞われたが、なんだかんだで面白い体験であった。

2 件のコメント:

りりん(輪理無) さんのコメント...

乙でした 台風明けたらまた会おうぞ

HoriK さんのコメント...

いいですね、Mt.Aに挑戦しますか

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