弁証法的行動療法とマインドフルネス

 おおよそ日報のようなもの。昨日は弁証法的行動療法実践ワークブックを読み終えたり、アウトライン編集ツールを探したり、メモリ管理について復習したり、食料品の買い出しに行ったりした。

 本を読み終わったので弁証法的行動療法の大まかな振り返りをしたいと思う。弁証法的行動療法は、そもそもは境界性パーソナリティ障害の治療を目的として開発された治療方法である。境界性パーソナリティ障害は現実世界に対する認知が歪むことによって精神的に不安定になったり、他人とのコミュニケーションが困難になる精神障害である。白黒思考が強く自己評価が過度に低かったり、周囲に怒りをぶつけたり、鬱を引き起こして自傷行為や自殺企図に走ったりといろいろな問題を引き起こす。治療法としては、薬物療法と認知行動療法を組み合わせて使用するのが一般的であり、薬物療法は感情調整(SSRIを使ってセロトニン量を調整して不安感情の発生を抑えるなど)、認知行動療法は現実への誤った価値観の修正をそれぞれ目的としている。ただし、従来の認知行動療法は患者本人がそれを自分で実施するできるようになるまでの期間が長く、治療期間中の突発的な症状に対して適用が難しいなどの問題があった。弁証法的行動療法では獲得スキルを3つに分割し、それぞれのスキルを一年間かけて相互に強化しながら練習をしていくことで患者がより簡単にスキル習得できるようにしている。

3つのスキルというのは「対人関係スキル」「感情調節スキル」「苦悩耐性スキル」で、これを下支えするものとして「マインドフルネス」がある。だから全体では4種類のスキル習得を目指すことになる。苦悩耐性スキルは、そもそもスキル習得をできる状態にすること、習得したスキルを利用できるような精神状態に持っていくことを目指すスキルで、突発的に発生する怒りや不安感情を抑えるスキルである。感情調節スキルは、否定的感情が現れた時にそれにきちんと対処するスキルで、例えば否定感情の根拠を反証したり、否定感情の反対方向の行動を起こしたりして誘発感情を防いだりといったことが含まれる。対人関係スキルは、実際に他人に対して何かを頼んだり、トラブルを起こさずに要求を通すスキルで、これを練習することで対人関係に関する歪んだ認知を矯正することを目的とする。マインドフルネスは現在置かれている自分の状況を正しく認知することを目的とする方法論である。苦悩耐性スキルを上げるためには自分が何かしら否定感情を起こしていることを検知して、他のことに注意を向けるためにマインドフルネススキルが重要である。また、感情調節スキルを上げるためには自身の感情について点検をするためにマインドフルネススキルが重要である。対人関係スキルでは相手の感情や状況を適切に理解するためにマインドフルネススキルが重要である。

 マインドフルネスは弁証法的行動療法の元となった認知行動療法の中にも含まれていて、臨床心理学の分野では非常に注目度の高いテクニックとされているものだと思う。実践をしていくと、いかに自分の注意がいろいろなものに逸れており、目の前にあるものに対して焦点が当たることが少ないものかがよくわかるので、やってみると良い。今目の前に何があるか、どんな音が聞こえるか、何かを手にしているならその感触はどういった感じか、重量感をどれくらい感じるか、など。

 個人的にもマインドフルネスにはかなり関心を寄せていて、今後いろいろな書籍を通して知識をつけていきたいと思っているし、生活の中にも取り入れていきたいと思っている。

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