「神守る島」宗像大島 1野宿2日

期間3/8~3/9 場所 福岡県宗像市大島


 筆者は以前より離島に思いを馳せていた。そして、実行に移すことにした。

選んだ場所は宗像市大島。同じターミナルから地島にも行けるのでどうするか迷った。

3月8日10時半、神湊港渡船ターミナル到着。青く晴れ渡り旅には最適である。旅客船「しおかぜ」には原付を載せられないので13時50分までフェリー「おおしま」を待つこととなる。暇だったのでTクラスの面々と通話しながら待っていた。これが後に自分を苦しめることとなるのであった……。

実は、大島にはレンタサイクルがあるのだが、最近の自分の体力では島を回りきれないだろうと判断して原付を選んだ。
乗船時間は30分程度。この間外で風を浴び続けたせいで髪はぐっちゃぐちゃである。

大島上陸。しかしまぁ感動しつつも腹が減って仕方ない。何か胃に入れなければ、これから見る景色のグレードも落ちてしまうだろう。何か、何かないか。

すぐ近くにあった「壽や」で海鮮丼にありつく。まぁ写真から分かると思うが、うまいんだなこれが。ただ、もっとこう綺麗にスムーズに食べる方法はないものかね。お手拭きで手のべたつき処理できるからいいようなものの、エビの皮を剥いたり、サザエの中身を出したり、お味噌汁の骨を出したり。あと、自分で米でも持ってくるんだったなあ。こんなに魚食えるんなら米をこの丼の米の3倍は米食えたわ。

美味いからか、結構サインが飾られてますね。

「ボトルシップ&貝工房 かんす」にて、素晴らしき作品の数々を眺める。貝細工に用いる貝はアワビ。光沢が美しい。
ボトルシップの見慣れないこの大きな電球は「集魚灯」といい、イカ漁等に用いられる物である。他にもこの電球でボトルシップを作る人はいるようなのだが、ここの方が作るボトルシップの凄いところは、電球を切って大きい穴を作らずに穴の小さい金属部分から部品を入れて作るところにある。

行けば記念に1枚撮ってくれる。メリー号かサニー号を選択できる。

制作用の道具。これも自分で何が必要か考えて自分でつくるのだ。ここでのんびり作り方の話を聞いたりビデオを見たりした。これも後に自分を苦しめることに。いや~、だってめっちゃ興味深いんだもんよ……。

夢の小夜島。ここは潮が満ちている時に見るのが良いだろう。そう考えるとまぁ、結果オーライだったのかもしれない。

岩の上に菩薩が。へんぴなところにあるもんだなぁ。これについてはまた後で。

厳島神社(弁財天社)。パンフレットではあまり触れられていないからスルーする人が多いかも?自分ものぼりが出てなければ行ってないかもしれないな。住宅が並ぶ中に入り口があるからのぼりが無いと気付きにくい。

ここ重要。沖津宮遙拝所。現在は神職以外立ち入り禁止である沖ノ島を遙拝するための場所。島全部がご神体そのものだから入れないのでこういう遠くから拝むためのところが必要になるわけだ。一年に2回、戸が開く。その先に見える物こそが、沖ノ島である。

昔は沖ノ島で漁が行われていた。そして、そこでみたものについては口外してはならない、石ころ一つ持ち出してはならない、毎朝海で禊を行う等、立ち入り禁止でない時代でも掟があった。
なんというか、信仰を感じ取る島だなここ。

この島、ものの見事に信号機が無い。バイク乗りたちは信号に邪魔されない快適なツーリングをしてみるのはいかがだろうか。安全には配慮すること。
あと、やはり原付でよかったよ。この島、きつい坂道多い。レンタサイクルが1000円、原付はそれより280円しか高くならなくて快適に回れる。

大島むなかた牧場。要予約で乗馬体験が可能である。今回筆者は完全にノープランで大島を回ったが、普通の人にはこういった面白いことを事前に調べてから行くことを勧める。うみんぐ大島というところで各種海洋体験するのもおもしろそうだ。

絶景ポイントである風車展望所・砲台跡に到着。パンフレットには砲台跡と青空の写真が載っていた。しかし筆者はこの一面の菜の花と夕日を気に入っている。
そして
ここで
『『『『『『『『『『『『九州本島に帰れない』』』』』』』』』』』』
ということが確定してしまう。
どうなっているのか。単純な話である。船の時間を間違えていたのだ。
パンフレットに神湊発と大島発の時刻が横並びで表示されており、見間違えていたのだ。
ヤケクソの状態で次の場所へ。御嶽山展望所・御嶽神社である。展望所で雲で薄く弱りゆく夕日を見て、不安がじわじわ上がってくる。

正直もうここについて覚えていない。余裕がないのでとっとと拝んでとっとと退散した。

大島灯台にも同じことが言える。この周辺に三浦洞窟、馬蹄岩と言ったスポットがあるのだがここから「あー、多分あれとあれやろ!」ってテキトーに目視確認して終わった。
QRコードを読みこんで灯台カードのダウンロードはやったけどな。

真っ暗で。行く余裕無いからせめてものあがきで表示撮ってる。

なんとか暗闇を抜けて港近くまで出てこれた。なかなか美しく光が海に映り込んでいる。

宗像大社中津宮。夜に行くなよ……。雰囲気ふつうに怖いぞオイ。あと帰りは逆行で階段マジ見えねーから下りるときは慎重にナ……。
道中よりはマシかな。それでも悪いこと言わねーから昼にしろ。

野宿確定
寒い。本当に寒い。下に最強のズボン、上に5枚着てなかったらマジどうなってたんだか。眠っても30分から1時間で目が覚める。そしてスマホの充電が残り5%。暇を潰すことも出来やしない。絶対に、ここで音楽を聴いたりすることができていればこの野宿の難易度は低くなっていた。昼はまだしも夜の海はそこまで長時間眺めてられるものではない。腹が減った、というかやることが無かったのでなにか食べようと思った。飲食店は夕方には閉まっている。当然コンビニなんてものは無い。しかし、あったのだ、買える食料が。海岸沿いの自販機にチップスターが売られているではないか!!僥倖!これを朝まで少しずつ食べていた。中学時代、やたらと長い弓道の試合の間、みんなカロリーメイトやウィダーインゼリーを貪って時間をつぶしていたことを思い出す。
寝るときの姿勢は色々試した結果こうなった。縮こまって寝ることで熱を逃がしにくい。また、原付のおかげで冷たい地面と距離を置ける。安定性も高い。ただし、後日足を痛めるくらいは覚悟しようか。はじめ、駐輪場の外で寝ていた。あまり街灯の光から離れたくなかったのである。寄ってたかって餓虫どもが街灯の光に集まるのも、私と同じで寄辺を求めているのではないか、なんて考えたりしたなぁ。しかし、このまま風を受けていたらどうなるか分かったもんじゃないので駐輪場の中へ。あと、ある意味では、離島に着た目的はこの野宿にあるんじゃなかろうかと思った。(昔から離島に惹かれてた理由では無いと思うが)訳も分からぬままパソコンの前に鎮座して、ただ、情報を流し続ける日々。耳からイヤホンを外すことさえ躊躇する、そんな毎日を一時的に振りほどく、それは本当に離島に来ただけでは叶えきれなかったのではなかろうか……?まぁ、過去に戻れるなら野宿にならないようにするんですけどね、ある種こうなるのも完全に間違いではなかったり?

ZZZ……

6時、朝を迎える……。


ターミナルの開く時間。これで寒さから解放される。店が開いたりするまではもう少しかかるが、外にいた時間に比べれば問題無い。身体が寒さが抜けたあとは漁師がサザエを網から外すのを見て暇を潰した。トンビが時々漁師が海に放った魚を急降下して奪いに来るのもおもしろい。上空にいるとき、足が無いように見えるがその瞬間だけは足がはっきり分かる。

8時くらいだったかな。ターミナル内の売店が開く。菓子パンを購入しつつ、スマホの充電器を借りる。ありがてぇ、ホントに。モバイルバッテリーはおろか、普通の充電器すら私は持って行ってなかったのでね……。あとテレビが付いてたので他の店が開くまで残りは簡単に時間を潰せた。

なすしと電話した。彼はけっこう心配していた。なすし曰くHoriKは半分笑っていたらしいが、島にコンビニがないことで危機感は覚えたらしい。

物産直売所「さよしま」が開いたのでもう一度朝ご飯。あかもくうどんを食す。正直もう何食ってもうまい状態ではあるが、なかなかいいよこれ。あかもくのトロっとしてすこーしネバな食感がたのしい。そしてうどんの汁は飲みやすく胃にもたれない。あと確か安い。

再び、夢の小夜島へ。うん、やっぱり海の中にあるほうが雰囲気あるんじゃねーかな。

大島交流館。「神宿る島」沖ノ島と「神守る島」大島について学ぶことができる。
神社系のスポットに関しては、できればここでどういうものか理解して見に行くのが良いだろう。感じ方が変わってくると思う。

前に触れた菩薩はこの八十八カ所千人参りの88体いる菩薩・如来・観音の一つだったわけですね。とおりすがりで見られるような物もあれば、先ほどのようなへんぴナ場所にあるものまで。時間と体力があれば、88全部コンプリートしてもよかったな。自分が見たのは20くらいかな。

他のも後で読もうと思ってるけど自分が特に興味もったの資料はこの辺かな。塩がなみのはななのはなんか分かるが、箸がよろずなのはマジ分からん。
そして、まだ自分は大島を食べ尽くしていないんだなと。
なんと、入場無料なのにおみやげくれます。特製カード。この日はPM2.5が酷く、沖ノ島見れないからってことで2枚くれた。あとガム。案内係のおばちゃんは「こんなものしかなくてごめんねぇ~」と言っていたが、文句があるわけなかろう。

しばらく町をぶらり。
1枚目 ああ、これ甘夏かなー  2枚目 海藻干してんな、強烈な磯のにおいがする

猫さん。うちのと柄が似てて実家に帰りたくなる。しばらく戯れた後、しっかり手を洗い、消毒もする。その後手が痒くなったりすることは無かった。

中津宮リベンジ。やっぱ行くなら昼だろ。うん。

おみくじ引いた。初詣に行ってなかったのでそろそろ引きたいと思ってたのよ。

進学の箇所を見た。努力すればイケるとかいてある。頼むぞまじで。2留は笑えん。旅行の旅立ちよし 楽しみ有りはそうかも。このあと2日後の家族旅行よかったよ。

海岸沿いへ。良い景色。

ホットサンド屋の「kitchen KAIKYU」で白身魚フライサンドを購入して海を眺めつつ食べる。めちゃめちゃうまい。本当にうまい。そこまで高くなく、ボリューミーで、楽に食べ進められて。正直ランキングつけるならこの島で食った物で1位。

ネコにとっては狩り場らしい。人間に近寄ってたくさん奪うのだ。悪いなネコさんども。このときの俺は栄養摂らないと本当にヤバいので数個のカケラしか渡さなかったよ。

その後しばらくハンモックに揺られる。
こういうのでいいんだよこういうので。何が野宿だ。

海の道。潮が引いたときだけ歩ける。ここ、恋愛パワースポットなんだと。カップル二人で歩くと2人の仲を深めるとか。うるせーっ!どうせ一生一人モンじゃい!

カップルじゃなくてもこういうのとか、八十八カ所千人参りのやつとかあったりするから来ると良いよ。うん。
前日の貝工房の方とここで再会。言えば泊めたのにと言われた。
ああ、ほんとそうすりゃよかったよ……。帰れなくなった瞬間から朝までずっとある種のテンパってたからさ……。

あとは船の時間まで売店でボトルシップ眺めたりテレビとスマホみて時間を潰す。家族へのおみやげに甘夏まんじゅうを購入した。後日のレゴオフ用に塩ワッフルクッキーも買った。

フェリーに乗って甘夏アイスを食す。甘くて良い具合にすっぱい。ただ、中で食うとなんか言われそうなので外で強い風に吹かれながら食べるのは大変だった。

なんとか本島に帰り着いた。ここで安堵した。ここまで来てしまえば、あとはどうにでもなるだろう。

甘かった…………。

泣きっ面に蜂とはまさにこのこと。めちゃ雨降るし雷も調子良く落ちまくってやがる。雨で気温が下がって寒い。しかもここは本島、車がたくさん。戦々恐々としながら、歯を食いしばりハンドルを握り続けた。

帰宅。今度こそ本当に安堵できる。マジで上の服はびちゃびちゃ。なんとか中まで雨が到達しなかったので助かった。厚着の恩恵をここでも受けることとなったわけだ。
あとはもう服脱いで力尽きて寝るだけ。

横になって眠れる。こんな当たり前のことに感動しつつ、当然即意識は途切れた。





以上、離島に行ってみたレポ&野宿になっちゃったレポでした。

3 件のコメント:

HoriK さんのコメント...

大変教育的な内容でした。ありがとうございました。海や花々の美しい写真と文化背景の説明で旅の雰囲気を感じられました。

りりん(輪理無) さんのコメント...

どうもどうも。しばらく記事書いてなかったのはこれ書くためのエネルギー貯めってことで……。

なすし さんのコメント...

なかなか濃い旅をしていましたね。とにかく君が無事に帰ってきて安心したことだけ覚えています。ブログも楽しい仕上がりになっていてこれからもりりんさんのブログが楽しみになりました。

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